メルシー先輩

あれは昨年の冬のこと。

俺の昔の漫画をネット上にアップしてくれたbccksの遠藤さん(♀)から、
預けた原稿を返却してもう為に赤羽でお会いした。

せっかくだし、軽く飲みますか的な話になって、
一軒目は割と普通の店に入って、酔った勢いで
せっかくだし、もう一軒いきますか的な話になって、
二件目は割と普通じゃない店に入った。

イイ感じの老婆が、地下にある、ちょっと怪しい雰囲気の店の階段を下りようと
していたので、そこを捕まえ、

「この店おもしろいんですか!?」

と尋ねてみたところ

「おもしろいよ」

というので老婆と一緒に入ってみる事にしたのだ。













そこはフィリピンパブだった。

老婆は、別にフィリピン人目当てで入店した訳ではなく、
ここの支配人であるママと友人で、ママと雑談しにきたようだ。

本当は老婆と話したかったのだが、入ってしまったからには仕方ない。
腹をくくってフィリピン人と話そうではないか。



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俺と遠藤さんは、老婆と離れたテーブルに案内され、
一人のフィリピン人女性が付いた。



俺達に付いたフィリピーナは、ほぼスッピンの、
40歳くらいのおばちゃんだった。
この店での源氏名は、「メルシー」さんという。

挨拶もそこそこに、


「なんかオバケの話きかせてください」


という、かなり無茶な振りをしてみたところ、
メルシーさんは一切動じずに、
中学校時代、フィリピンで大きい手に追いかけまわされたという
恐ろしい話を聞かせてくれた。


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この時点で俺の心は、メルシーさんに鷲づかまれた。
遠藤さんは黙って話を聞いていたけど、きっと遠藤さんも
鷲づかまれていたに違いない。


「アンタ、仕事何シテル?」

とメルシーさんに問われたので、
たまたまカバンの中にあった一枚の原稿を
見せびらかすことにした。




その原稿とは



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例の携帯の赤羽漫画の表紙。
なんでこの時この原稿を持っていたのか記憶にないけど、
とにかくカバンに入っていたのだ。

(フィリピン人が俺の絵を見て、どういう反応するのだろう?)

俺は少しウキウキしながら原稿メルシーをさんに手渡した。



原稿を目にしたメルシーさんの反応は、予想以上のものだった。


絵を見るなり興奮し、意味不明の言葉で
ギャーギャー奇声を上げ始めたのだ。

そこまで大袈裟に反応されると照れるなあ~!!

と思いきや、メルシーさんは別に、
俺の絵のうまさに興奮している訳ではなかった。




















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絵の中に、かつて彼女の住んでたアパートが描かれていたから
驚いたようだ。


この絵は、赤羽にある実在の坂を写真に撮って、
それを正確に模写したものなので、
おそらく彼女の言う事は事実なのだろう。



「で、どこのアパートに住んでたんですか?」

と、詳しい説明を求めたところ、
メルシーさんは、絵の中のあるアパートを指差した。


今度は俺が、意味不明の言葉で奇声を上げたくなった。


なぜなら













































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俺も数年前まで、そのアパートに住んでいたからだ。


まさかこんな、老婆にいざわなれて、たまたま入った場末のフィリピンパブで、
たまたま隣り合わせたフィリピーナが、俺と同じアパートに住んでいたなんて・・・!!

赤羽、結構な数のアパートありますよ?
どんだけの確率だよ・・・・



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驚愕すべきことに、メルシーさんは、
俺と同じ部屋の住人だった・・・・。
































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酔っ払った勢いも手伝い、驚きを通り越して、
なんか愉快なテンションになってしまった。

同時に、俺は彼女の呼び方を、「メルシーさん」から
「メルシー先輩」に改めた。































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そんなヘンチクリンな偶然を前にした遠藤さんは、
無言で俺とメルシーさんを見つめていた。

これがそこいらの女性だったら、
二軒目にフィリピンパブに連れてこられた挙句、
放置されて盛り上がられたら気分を害して怒ると思う。

しかし遠藤さんは、遠藤さんだから大丈夫なのだ。
遠藤さんは、こういう事を笑顔で許容してくださる、度量の広い女性なのだ。
だから大丈夫だったと信じたい。

あれから全然お会いしていませんけど、大丈夫ですよね・・?































それでメルシーさんの件だけど、更に詳しく話を聞いてみたところ、
俺が208号室に入る直前まで住んでいたのが
メルシーさんだったようだ。


メルシーさんが退居した時期と俺が入居した時期が、
紙一重のところでピタリと重なるし、しかも部屋の間取りや、
住んでみないと分からないことまで彼女は知っていた・・・。


俺が208号室で一番気になっていたのは、
玄関のドアにあった、劇薬をかけて解けた様な
無数の不気味な穴である。

「玄関のドアに気持ち悪い無数の穴が開いてたけど、
ひょっとしてあの穴あけたのメルシー先輩っすか?」

「アノ穴ワタシ違ウ!住ンダ時カラアッタ!」


「じゃあ洗面台のヒビ、あれはメルシー先輩?」

「ソレモ違ウ!住ンダ時カラアッタ!」


「じゃあ便座にヒビ入れたのは!?」

「ソレ、ワタシ!ゴメンネ!」





で、店を出てベロベロに酔っ払いつつ家に帰って、
寝たのが明け方くらい。


寝付いて数時間後、ある男からのメールの着信音で目覚める。























































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そのエピソードが、以前公開した、
『押切君ちにペイティさん出現事件』である。

http://usurabaka.exblog.jp/10229377/







この二つのエピソードの確率を、ロト6でお願いできないものだろうか?

ロト6が無理なら・・・・





























































































ミニロトだって構わない。
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by kurukurupaaaa | 2009-05-15 05:04 | 街人  

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