潜入!謎の「赤羽くのいち屋敷」③
「よくいらしてくれたでござる」
わざとらしい「ござる」言葉を駆使する不気味な女忍者は、
俺の隣に座ると、ビールを注いで持て成してくれた。
一体この女は、どんな顔をした、何歳くらいの女なのだろう?
どうにかして素顔を見てやろうと思ったけど、
店内は暗い上に、全身黒ずくめ。
まったくもって分からなかった。
派手なアイマスクを勧められたけど、
丁重にお断りさせて頂いた。
なぜなら、付ける理由がなかったからだ。
その言葉は唐突だった。
「えっ?パンツを脱いでどうするつもりなんですか!?」
「ってゆーかここ、どういうお店なんですか!?」
俺は事情をまったく知らない体で、
女忍者に疑問をぶつけてみた。
「口でしてあげるから、早く脱ぐでござる」
・・・どうやらここは、ピンサロのようだ。
「すいません、そういう店だと知りませんでした!
キャバクラ的なものかと思いまして・・なので今日はお話中心でお願いします!」
「ほら!時間ないから早く脱ぐでござる!」
女忍者は俺の言葉に耳を貸さず、積極的に服を脱がそうとしてくる。
そして耳元でこう呟いてきた。
「あと3千円プラスで、スゴイことできるわよ」
・・・スゴイこと。
それがどうスゴイのか、具体的には教えてくれなかったけど、
まあこの流れから察するに、多分恐らく本番行為のこと、
専門用語でいうところの「おせっくす」のことだろう。
「いや、結構です!お話、、お話をしましょう!!」
何を言っても聞く耳持たずで
しつこく服を脱がそうとしてくる女忍者。
こんな強引な店は初めてだ。
彼女の暴挙を止めるには、
さすがの俺も忍法を使うしかない。
この状況で俺が使える忍法は、ただ一つ・・・
忍法「金」である。
「性的なサービスは結構なので、ちょっと話を聞かせてもらえませんか?」
「・・・」
金を前にし、沈黙する女忍者。
金とはいっても2千円なので、
この程度では動じないか・・・・
動じた!
2千円を懐にしまいこむと、
女忍者は急におとなしくなった。
そして俺のお望み通り、「お話」をしてくれた。
以下女忍者とのやり取りを、会話形式で再現。
俺「失礼ですが、年きいてもいいですか?」
女忍者「あなたいくつよ?」
俺「29です」
女忍者「あなたの2つ上、ってとこね」
・・・ということは、31歳というこということか。
同世代じゃん。
俺「ビックリマンシール集めてました?」
女忍者「は?ビックリ?いつビックリしたの?」
俺「・・いや、なんでもないです!あー、そうだ!お姉さんの顔見たいですよ、顔!」
女忍者「わたし、恥ずかしがり屋さんなの。だからダ~メ!」
どうでもいいけど、先ほどまでの「ござる」言葉がいつの間にか消えて、
完全にタメグチになっている。
俺「赤羽のここ以外の風俗店ってどうなんですかね?
ぼったくりの店とか変な店とかあるんですかね?」
女忍者「他の店のことなんて、全然知らないわよ」
俺「そうですよね、すみません・・・」
勝手に吸ってもいいのに、タバコの受動喫煙を気遣ってか、
わざわざ俺に承諾を得てくれた女忍者。
意外と優しいところもあるジャン。
タバコに火をつける為、顔を覆う布を上げたけど、
残念ながら暗くて顔は見えなかった・・・。
こんなに至近距離で素顔をさらしているというのに
見えないだなんて、すごくもどかしい・・・畜生。
と思ったその時!!!!
ライターを点火したほんの一瞬、
炎と共に見たことも無い数のシワが浮き上がった!
形容するならば、“星の数ほどのシワ”といったところか。
もはや完全なるババア。
警察からババア罪で逮捕されてもおかしくないレベルの、
ババア極まりなきババアである。
そしてシワを見た時、この店のカラクリを理解した。
店内が真っ暗な上に、忍者の恰好をさせて顔を隠しているのは、
客に顔を見せない為・・つまり、ババアだということを隠す為である。
なんて店だ!!!
つづくの術
(なるべく次で終わらせたい)
by kurukurupaaaa | 2009-11-30 04:11