F野先生

高校の時、俺はインターアクトクラブという、訳の分からない部活に所属していた。
いや、正確には所属させられていた。

本当は帰宅部に入って、一刻も早く家に帰りたかったのだが、
担任の増田先生から「なんでもいいから、部活には必ず入れ!」とか言われ、
半ば強制的にねじ込まれたのがこのインターアクトクラブである。

活動内容は、ボランティア活動を通じて、地域の人々や他校の生徒との交流を計り、
社会性を養う・・・みたいな感じだったが、実際にやらされたのは学校の掃除だけである。
ふざけるな、である。
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で、この部活の顧問が、F野先生である。

F野先生は、鬼の様に厳しい先生だった。
ちょっと部活に遅刻しただけでも俺の頭をグウで殴り、大声でののしるのだ。

「時間にルーズな奴は社会に出たら通用しないぞ!」
だの
「人に言われずして行動する!それこそがボランティアの基本理念だろう!?」
だの
「今は疎ましく思う俺の説教も、いずれはありがたく思う日が必ず来る!」
だの、まー正論好きな先生だった。

こんな調子のF野先生だから、部活をサボった日などはもう大変。
家に直接電話を掛けては電話口で説教を始め、
その翌日には更に長い説教をネチネチネチネチ・・・。
うんざりだった。
仕方ないので俺はインターアクトクラブに真面目に(なフリして)出席する事にした。
といっても構内の掃除を、てきとーにして帰るだけだが・・・。

そんなある日の通学時、トンデモナイ場面を目撃する。


この高校は赤羽のド真ん中にある男子校で、俺は実家から自転車で通っていた。
F野先生は自慢の外車、ブルーのスカイラインで学校に通勤しており、
その通勤姿は、自転車に乗りながら何度か目撃した事もあるし、追い抜かされた事もある。

トンデモナイ場面とは、








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F野先生が通勤時、俺の目の前で思いっきり中学生を轢いたのである。

俺はF野先生の死角に身を潜め、ワクワクしながらその様子を伺うことにした。
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車を止め、すごい勢いでドアを開け、飛び出るF野先生。

そしてこの時とったF野先生の行動こそ、現在の俺の価値観をつかさどる上で、
非常に大きな影響を与えてくれたと思う。
F野先生がとった行動・・・・それは













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土下座である。


被害者の中学生の体をいたわる事もなく、まず土下座である。
高校でボランティアの顧問をしている教師が、土下座である。
たかだか遅刻くらいで散々俺をののしった教師が、土下座である。
車道で、土下座である。

幸い、中学生は軽症で、すぐに立ち上がり
「大丈夫です・・・」と言い残して、そそくさと立ち去って行った。

F野先生は何事もなかったかの様に車に乗り込み、通勤を再開させた。



その日の昼休み、学校の駐車場にF野の愛車・スカイラインを見に行くと、
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人を轢いた形跡がしっかりとボンネットに残されていた。


その後も、些細な事でF野に呼び出されては、説教を受けたが
俺は奴を見下しまくっていた。
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こんな人に俺を、いや、生徒を、いや、人を叱る資格なんてないと思ったからである。











あおいだところで、尊くもなんともない。
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by kurukurupaaaa | 2007-12-14 02:34 | 先生  

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