神崎君

今年は、あの男と知り合ってちょうど10年目になる。
一度冷静に振り返るには丁度良いタイミングなので、
この場を借りて振り返ってみる事にしよう、そうしよう。


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俺が今回の人生で出会ってきた人間達の中で、最も得体の知れないのが
この神崎という男だ。
神崎というのは本名で、彼のもう一つの名は押切蓮介という。
今となってはすっかり有名になってしまった、漫画家の押切君の事だ。

よく人から「押切さんとはどうやって知り合ったんですか?」と
尋ねられるが、それを一から説明するのは非常にめんどくさいので、
「たまたまです」と答える事にしている。

ここで詳しく説明するので、もうその質問は控えて頂きたい。
くさいんです。めんどうが。



1998年5月。

俺はヤンマガで『アニキの季節』という糞漫画でデビューした。
その2ヵ月後、押切君もヤンマガで『マサシ!!うしろだ!!』という漫画でデビューした。
その強烈な作風から、俺の脳裏に押切蓮介の名はしかりインプットされた。
(この作品は講談社のから出てる『押切蓮介劇場・マサシ!!うしろだ!!』に収録)

で、その当時俺は大学に通いながら近所のイズミヤというスーパーでバイトをしていて、
スーパー内の違う部署には小学校時代の幼馴染、石田光男君も働いてた。
ある日、石田君が唐突にこんな事を聞いてきた。

石田「押切蓮介って知ってる?」

俺「知ってる、ヤンマガでデビューした人でしょ」

石田「押切君も清野君のこと知ってるらしいよ」

意味がまったく分からなかった。
一体何故、見ず知らずの押切君が俺の事を知っているという事を、
俺の幼馴染の石田君が知っているのか。

ここから話は複雑になっていくのだが、要約すると、
イズミヤで石田君と同じ部署で働いているパートのオバちゃんの友人の友人が、
押切君の母親だったのだ。(図A参照)
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俺がデビューした事を、石田君が同じ部署のオバチャンに何気なく話した所、
その話が三人もの無関係な人間を挟み、偶然押切君の耳まで届き、更に押切君の話が
俺の耳まで届いたという訳だ。

そして数週間後、同じルートを辿り、押切君の電話番号を知る事になる。

お互いまだ携帯なんて持っていない時代、
恐る恐る公衆電話から押切君の実家に掛けてみる事にした。
蒸し暑い夏の日の夜に。石田君と共に。赤羽台団地の公衆電話から。

しかし、いきなり俺が電話を掛けるのは怖かったので、
石田君にお願いしてファーストコンタクトをとってもらう。
普段寡黙で無表情な石田君が、電話口で押切君と盛り上がり、「あはは」とか声を上げて笑っていたのが不気味だった。
押切君と俺の幼馴染が、一体何の話で盛り上がっているのだろうか・・・。
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そしてとうとう俺の番。
石田君から差し出された受話器を耳に当てると、そこには押切君の声が存在していた。
一言二言ぎこちない挨拶を交わした後、『怪談・人間時計』という1960年代のキチガイ漫画の話で盛り上がる。
高校時代、この『人間時計』に感銘を受けた俺は、毎日の様に学校で愛読していたのだが、周りの友人達は誰もわかってくれなかった。
わかってくれないどころか「また清野が不気味な本読んでる」と、大変白い目で見られていた。
最初にこの本で共感できた同年代が、押切君だったのだ。(押切君も俺と同じだったらしい)

俺達は嬉しくなり、すぐに意気投合した。
意気投合したものの、すぐに会うに至らなかったのは
お互いがお互いを警戒し合っていた為だろう。
ちなみにこの当時俺が住んでいたのは東京都板橋区。押切君は神奈川県高津区。
会おうと思えばいつでも会える距離である。


その後、月1ペースで文通がスタートする。

「押切君、お元気ですか。僕は元気です。」

「清野君、お久しぶりです。暑い日が続きますがお元気ですか。」

文通が始まって数ヶ月経っても、「会おう」という話題が出なかったのは、
まだまだお互いがお互いを疑っていた為だろう。

それから1年くらいの時が流れ、どちらからともなく
「そろそろ会ってみようか」的な話がようやく出始める。


そして1999年のある日。
神保町の、古書センター前で待ち合わせる事に・・・。

俺はビビっていた。
電話や手紙では好青年だが、押切という男は絶対に頭のおかしい奴だと
確信していたからだ。
少し早めに待ち合わせ場所に着いた俺は、押切君らしき男が来るのを物陰から
ジッと待ち伏せていた。
ヤバそうな奴だったら、きびすを返してすぐに帰ろうという作戦を決行する為だ。





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「きゃつだ!!」

神保町を行き交う人達の中、それが押切君だとすぐに分かった。
常人とは明らかに異なる変なオーラを、どくどく放出していたからだ。

話しかけようか無視して帰ろうか、考えあぐねていると











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なんと押切君の方から俺に声を掛けてきた。

「な・・なんで分かった!?」

「変なオーラ出てたからすぐ分かったよ」






つづく。
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by kurukurupaaaa | 2008-01-05 03:53 | 友人 | Comments(26)  

Commented by オカモト太郎 at 2008-01-05 04:20 x
紙を裁断する道具も押切っていいますね。。。
http://store.shopping.yahoo.co.jp/tantan/61498.html#
Commented by k野 at 2008-01-05 05:45 x
お互いオーラの塊じゃないですか*・ω・)ノw
Commented by 天国ん at 2008-01-05 07:19 x
ははは。これは実に興味深い。
Commented by 竜玄 at 2008-01-05 08:08 x
似顔絵に悪意が…(いい意味で)
この顔は完全に人を殺してますよ!!
Commented by おぉちゃん at 2008-01-05 08:24 x
ギャー!!!いいところで続く・・!!!
清野さんのいけず!!!

1998年が10年前だなんてウソだって言ってください。
Commented by あききゃべつ at 2008-01-05 09:08 x
次回期待!! (>_<

10年前かぁ……
Commented by 工場長 at 2008-01-05 11:56 x
10年前というとワシが世界で一番強かった時期じゃな…
Commented by kinaco at 2008-01-05 12:45 x
清野さん明けましておめでとうございます☆
少し精神を鍛えようと年末から山に籠もっていました。
正月早々レトリバーに父が転ばされ、足にヒビが入る大怪我をし、
更に車中でぬんちを漏らし、自宅であらゆる部屋にユルユルのぬんちを撒いて歩いてる、レトリバーにもなんとなく清野さんのお陰で
許せるようになりました。  石田君の「ん」が個人的に好きです。
Commented at 2008-01-05 13:23 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by アメリカ at 2008-01-05 15:00 x
ケータイとかメールがない世界はとても情緒あふれてるし
繋がりにくいぶんドラマがありますね。
続きが気になります。
Commented by 中三病人シゲオ at 2008-01-05 17:23 x
で、押切君とはどうやって知りあったんですか?
Commented by 西川 at 2008-01-05 20:05 x
ペイテイさんは元気でしょうか?
Commented by あこ at 2008-01-05 22:33 x
清野さんのブログ(ここ)がテレビブロスで紹介されててビックラしました!!
清野さんが遠くに行っちゃったような気がして寂しい!!
ビッグになっても今のままでいてください!!
Commented by くろ at 2008-01-06 00:24 x
これが押切さんとの出会い……
ドラマにできそうなほどに面白いですね。
僕もいつか、出会いをテーマになにかを書きたいと思います。
Commented by カナ at 2008-01-06 02:16 x
こんばんわ、清野さん。すごく続きが気になります!!!
押切さんとの出会いにはこのような経緯があったのですね!
なんだか。。。縁がありますね~(*^^)
押切さんは私もテレビで『マサシ!!うしろだ!!』をみて爆笑して、、そこから押切さんのことを知りました。テレビは衛星か何かだったと思うんですが・・ビデオで録っておけばよかったと後悔してます。
ではでは、続き楽しみにしてますね!
オーラで分かりあえたお二人が凄いです^^
Commented by コロッケ5えんのすけ at 2008-01-06 11:11 x
今更ですが、あけましておめでとうございます。
仕事でバタバタで風呂に入れず、乳首が大変かゆいです。
今年も宜しくお願いいたします。

押切さんの本は読んだことがなかったのですが、絵柄は何かで見たことがあるので、一度読ませていただこうと思います。

それにしても押切さん、良いカオですね。オーラがうらやましい。
Commented by 河童 at 2008-01-06 13:13 x
ハラハラ、
ドキドキ!
Commented by 猫軍師 at 2008-01-06 16:23 x
清野先生こんにちは。続きが楽しみですが関係ない質問します。

グーグルで「清野とおる」で検索すると清野先生の記事より押切君の記事の方が上に来るんです。どうしてですか?

あと清野は実は女だとかたわ言ぬかす奴がまだいます。どうお考えですか?
Commented by 清野 at 2008-01-06 19:58 x
オカモト太郎さん>
本当だ!しかも結構高い!!
タンタン特価ですら13,230円するとは押切恐るべし!

k野さん>
同時に、ウンコの塊でもあります。

天国んさん>
興味浅くなくてよかったです。

竜玄さん>
これでも相当柔らかく描いたつもりなのですが・・・
押切君は実際人を殺してますよ。

おぉちゃん>
1998年が10年前だなんてウソです!!!

言いましたよ。

あききゃべつさん>
10年前っす。
「あ」  っという間です。

工場長さん>
世界で一番強かったんですか。
それは大変恐れの多いことです。

kinacoさん>
あけましておめでとうございます。
精神を鍛える為に山に籠もるなんてすごいですね。
すごいです。
俺なんて家に籠もってばっかりです。

 さん>
見えました見えました。

アメリカさん>
最近では人と知り合うキッカケはほとんどネット
なのでしょうね。
なので自分は現実で知り合った人間を重宝してしまいます。
そこらのおっさんとか含めて。
Commented by 清野 at 2008-01-06 19:59 x
中三病人シゲオさん>
たまたまです。

西川さん>
一昨日の深夜見ましたが、元気そうでした。

あこさん>
紹介してくれたらしですね。ブロス万歳。
遠くにいきたいもんですが、所詮俺は赤羽止まりの男ですよ・・・

くろさん>
どんなテーマを掲げようと、くろさんの天才的な術中に掛かれば
あっとういう間に素晴らしいホラーになってしまうんでしょうね。

カナさん>
「縁」というより「怨」かもしれませんね。
マサシのすごさは映像では伝わりません。
是非漫画で読んでみてください。

コロッケ5えんのすけさん>
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
乳首かゆいんですか。
馬油(ばあゆ)を塗ることをお勧めします。

河童さん>
うんこ
ちんちん

猫軍師さん>
それはグーグルの社長の鈴木ぐぐる氏が
押切君のファンだからだと思います。
俺を女だとぬかす奴は、密室で練炭焚いて死ねばいいと思います。
Commented by ケツ毛×ケツ毛=ケツ毛 at 2008-01-06 23:50 x
実は私も若い頃は漫画家を志しておりました。当時、日野日出志とかに目覚めた頃で、徳南晴一郎の時計人間とかも購入し、こういうの描きたいな~、かっけーな、って思ってた矢先、ヤンマガでデビューされた押切さんの画風に私は激しくSHIT(嫉妬)し、衝撃を受けました。なんじゃコイツは。何じゃこの幽霊の不気味さは。すげー新人が現るだぜ!と。
正直現在ヤンマガは立ち読みでカイジとか2~3個読む程度で「でろでろ」は読んでませんが(すいません)、押切さんはペンネームのネーミングセンスの良さ、テクノミュージックのださカッコいい活動まで、脱帽というか、アデランスを脱ぐ思いで、作品のDLを勝手にさせていただいております。がんばれ清野!がんばれ押切!

これからもケツ毛というHNで書き込みする事をお許しください。  
ダッシュ!ε≡≡ヘ( ´∀`)ノ
Commented by ケツ毛÷へそ毛=ゆび毛 at 2008-01-06 23:54 x
↑の文章1000文字以上削除しました。文章おかしいのは気にしないで!(´∀`)。
Commented by 清野 at 2008-01-08 14:50 x
素晴らしい話をありがとうございます!
Commented by えともぢいな at 2008-01-09 13:00 x
人間時計・・・。
かつて私は、その人間時計のヒトコマを自らのクラブイベントフライヤーに起用させていただいたことがあります。。。。
Commented by ムーミー❤ at 2015-01-11 01:16 x
初めまして~(^^) どうもこんにちわ!
漫画もドラマ(の予告?)的なのも見ました‥山田孝之さん主演?
まさかドラマ化するとは住んでる街がでてくるとは凄い話ですね。

で‥言いにくい話なのでが先日‥素敵な雑貨屋さんで母が買い物をしていたら赤いおじさんが店の方とお話ししているのを目撃!

赤いおじさんが店を出た後、母が店の人にちょっぴり喋ったら「店の人にぶつぶつと‥‥シークレット‥」

とまぁ‥ぶつぶつ(?)何かあったんですかね~?!(爆笑)

まー、体に気をつけて漫画書いてくださいね~あばよー
Commented by chashironeko at 2015-06-10 09:58
「人間時計」は、消えた漫画家で紹介されてましたね。作者が復刊に反対し、印税受け取りを拒否したというのが印象的。
復刻版も絶版だったから古本で買いました。素敵な世界ですね。
無階タバコ屋さんに、ねずみがかじる固い物が他にない田舎!

知り合いに漫画家になった若者がいるらしい、という話がバイト先で3人を挟んで伝わったのですね。まるで糸電話のようです。
好きな道に飛び込めば、理解者が現れよき親友に。大変おめでとうございます。

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