神崎君②

c0152126_201284.jpg

古本屋の前で初対面を果たした俺達は、
その足でマクドナルドに向かった。

そしてコーラを飲みながら、しばし談笑。
いや、表向きは談笑なのだが、お互いがどういう人間なのかを
警戒しながら探り合っていたのだ。
2時間ほど様々な話をしたが、この押切という男がどういう人間なのか、
俺はまったくもって掴めなかった。

マックを出た俺達は、気分転換に街を俳諧する事にした。
特に会話も無いまま、ただひたすらに夕暮れ時の神保町を歩き続けた。

と、押切君が沈黙を破り、唐突にこんな事を聞いてくる。

押切「清野君、君は童貞なのかい?」

清野「そういう押切君こそどうなんだい?」

押切「・・・童貞だとも」

清野「・・・俺もだとも」













c0152126_202368.jpg

「童貞」という、十代の男子にとってこの上ない共通点のもと、
俺達はようやく打ち解け合った。
長い年月を経て、ようやく俺達は真の「友達」になれたのだ。

そしてこれがキッカケとなり、長いこと内に秘めていたお互いの価値観やら人生観を素直にさらけ出すと、俺達は驚くほど共感し合った。


c0152126_2051427.jpg

ある時は電車が通過する鉄橋の下で、
「今俺達の頭上をとんでもない数のウンコ(乗客の腹に詰まった糞の事)が、とんでもない速度で通過しているぞ!」と笑い転げたり・・・
ある時は『人間の歌』を作り、
「皮膚皮膚皮膚皮膚髪髪髪髪指指指指爪爪爪爪舌舌舌舌♪」
と、街中で大声で合唱しながら歩いたり・・・
相乗効果によって、俺達の行動はじょじょに常軌を逸し始めた。

c0152126_2064728.jpg

笑いすぎて街角で吐き気を催すことしばしば。
c0152126_2073431.jpg

押切君に至っては、笑いすぎて喘息の発作を起こしたりもした。

はたから見れば、俺達はただの気違いだったろう。
しかし俺は非常に楽しかった。
今まで出会ってきたどの連中より、押切君は俺の価値観に共感してくれるし、
何を言っても引かないし、くだらない悪ふざけにも率先して付き合ってくれる。

押切君とは一生を通して仲良くしていこうと、心に堅く決意した。















そんなある日、押切君が俺より先に童貞を捨てやがった。
c0152126_2093539.jpg










押切君とは絶交しようと、心に堅く決意した。
c0152126_20102433.jpg

押切君からの誘いは全て断り、メールも無視。
MSNメッセンジャーだって、もちろん禁止だ。




















c0152126_2011314.jpg

数ヵ月後、俺も童貞を捨てる。




















c0152126_20114438.jpg

再び押切君と仲良くなった。











そんなある日、押切君からこんな電話がかかってきた。
「清野君、大変だ!石田君の彼女の中国人が、俺の母親に会う為に、近々うちに遊びにくるかもしれないんだ!」

石田君とは、前回触れた、俺の幼馴染である。
押切君と石田君は、電話で一度話しただけで、その後一切接点は無い。
俺も二十歳を過ぎてから徐々に石田君と疎遠になり、連絡先も知らない。

石田君に中国人の彼女がいることだけは、風の噂で知っていたが、
その事を押切君の口からこんな形で聞かされるとは・・・。
しかも何で押切君の家に、石田君の彼女の中国人がやってくるんだ・・・!?

俺は頭の中がごちゃごちゃになり、過呼吸になりそうだった。


話を要約すると、
押切君の母親の友人の友人の友人の友人が偶然石田君の彼女で、
その友人どもに連れられて押切君宅に遊びに来る事になったらしいのだ。(図B参照)
c0152126_2013509.jpg


俺は電話口で声を荒げた。

「その面会、全力で阻止してくれ!!!!」

変なとこから湧いてきた、石田君の謎の彼女が押切君の母親に会うという現実が
俺は恐ろしくて仕方がなかったのだ。

「言われなくても阻止するつもりだ!!!」

押切君も声を荒げた。

押切君の妨害工作によって、見事面会は破談になった。
(その後石田君は、その彼女と結婚して、中国に渡ったらしい)




こういう、ありえない変な偶然が、俺達の周りではよく起こる様な気がする。
押切君と知り合ったのもありえない偶然だが、全部ひっくるめて必然の様な気が、
しなくはない様な気がしなくもなくはない様な気もする。





c0152126_20141982.jpg

c0152126_2015364.jpg




c0152126_20152769.jpg

多分押切君は俺より先に結婚すると思うので、
その時また絶交してやろうかと、密かに計画しております。
[PR]

by kurukurupaaaa | 2008-01-06 20:21 | 友人  

<< 山本君 神崎君 >>