カテゴリ:友人( 22 )

 

神崎君

今年は、あの男と知り合ってちょうど10年目になる。
一度冷静に振り返るには丁度良いタイミングなので、
この場を借りて振り返ってみる事にしよう、そうしよう。


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俺が今回の人生で出会ってきた人間達の中で、最も得体の知れないのが
この神崎という男だ。
神崎というのは本名で、彼のもう一つの名は押切蓮介という。
今となってはすっかり有名になってしまった、漫画家の押切君の事だ。

よく人から「押切さんとはどうやって知り合ったんですか?」と
尋ねられるが、それを一から説明するのは非常にめんどくさいので、
「たまたまです」と答える事にしている。

ここで詳しく説明するので、もうその質問は控えて頂きたい。
くさいんです。めんどうが。



1998年5月。

俺はヤンマガで『アニキの季節』という糞漫画でデビューした。
その2ヵ月後、押切君もヤンマガで『マサシ!!うしろだ!!』という漫画でデビューした。
その強烈な作風から、俺の脳裏に押切蓮介の名はしかりインプットされた。
(この作品は講談社のから出てる『押切蓮介劇場・マサシ!!うしろだ!!』に収録)

で、その当時俺は大学に通いながら近所のイズミヤというスーパーでバイトをしていて、
スーパー内の違う部署には小学校時代の幼馴染、石田光男君も働いてた。
ある日、石田君が唐突にこんな事を聞いてきた。

石田「押切蓮介って知ってる?」

俺「知ってる、ヤンマガでデビューした人でしょ」

石田「押切君も清野君のこと知ってるらしいよ」

意味がまったく分からなかった。
一体何故、見ず知らずの押切君が俺の事を知っているという事を、
俺の幼馴染の石田君が知っているのか。

ここから話は複雑になっていくのだが、要約すると、
イズミヤで石田君と同じ部署で働いているパートのオバちゃんの友人の友人が、
押切君の母親だったのだ。(図A参照)
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俺がデビューした事を、石田君が同じ部署のオバチャンに何気なく話した所、
その話が三人もの無関係な人間を挟み、偶然押切君の耳まで届き、更に押切君の話が
俺の耳まで届いたという訳だ。

そして数週間後、同じルートを辿り、押切君の電話番号を知る事になる。

お互いまだ携帯なんて持っていない時代、
恐る恐る公衆電話から押切君の実家に掛けてみる事にした。
蒸し暑い夏の日の夜に。石田君と共に。赤羽台団地の公衆電話から。

しかし、いきなり俺が電話を掛けるのは怖かったので、
石田君にお願いしてファーストコンタクトをとってもらう。
普段寡黙で無表情な石田君が、電話口で押切君と盛り上がり、「あはは」とか声を上げて笑っていたのが不気味だった。
押切君と俺の幼馴染が、一体何の話で盛り上がっているのだろうか・・・。
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そしてとうとう俺の番。
石田君から差し出された受話器を耳に当てると、そこには押切君の声が存在していた。
一言二言ぎこちない挨拶を交わした後、『怪談・人間時計』という1960年代のキチガイ漫画の話で盛り上がる。
高校時代、この『人間時計』に感銘を受けた俺は、毎日の様に学校で愛読していたのだが、周りの友人達は誰もわかってくれなかった。
わかってくれないどころか「また清野が不気味な本読んでる」と、大変白い目で見られていた。
最初にこの本で共感できた同年代が、押切君だったのだ。(押切君も俺と同じだったらしい)

俺達は嬉しくなり、すぐに意気投合した。
意気投合したものの、すぐに会うに至らなかったのは
お互いがお互いを警戒し合っていた為だろう。
ちなみにこの当時俺が住んでいたのは東京都板橋区。押切君は神奈川県高津区。
会おうと思えばいつでも会える距離である。


その後、月1ペースで文通がスタートする。

「押切君、お元気ですか。僕は元気です。」

「清野君、お久しぶりです。暑い日が続きますがお元気ですか。」

文通が始まって数ヶ月経っても、「会おう」という話題が出なかったのは、
まだまだお互いがお互いを疑っていた為だろう。

それから1年くらいの時が流れ、どちらからともなく
「そろそろ会ってみようか」的な話がようやく出始める。


そして1999年のある日。
神保町の、古書センター前で待ち合わせる事に・・・。

俺はビビっていた。
電話や手紙では好青年だが、押切という男は絶対に頭のおかしい奴だと
確信していたからだ。
少し早めに待ち合わせ場所に着いた俺は、押切君らしき男が来るのを物陰から
ジッと待ち伏せていた。
ヤバそうな奴だったら、きびすを返してすぐに帰ろうという作戦を決行する為だ。





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「きゃつだ!!」

神保町を行き交う人達の中、それが押切君だとすぐに分かった。
常人とは明らかに異なる変なオーラを、どくどく放出していたからだ。

話しかけようか無視して帰ろうか、考えあぐねていると











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なんと押切君の方から俺に声を掛けてきた。

「な・・なんで分かった!?」

「変なオーラ出てたからすぐ分かったよ」






つづく。
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by kurukurupaaaa | 2008-01-05 03:53 | 友人  

小山君

高校入学当初、俺はかなり孤独だった。

それは、同じ中学校からこの高校へ進学した友人が一人もいなかった為だ。
周りは皆、他中学出身の知らない奴ばかり。
どうやって一から友人を作っていいのかも分からなかったし、
特に作る必要もないかとも思ったので、常に一人だった。

そんな中、一番最初に出来た友達が小山君だ。
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キッカケは些細な事だったと思うが、
俺達はすぐに打ち解け合い、毎日登下校を共にする様になった。
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小山君は、その名の通り小柄な男で、性格も大人しく、
時折子供の様な無邪気な顔で笑うのだ。
小山君は、素直で優しいイイ奴だった。

そんなある日、小山君とビックリマンシールの話で盛り上がる。

俺達の年代の男子は、小学生の時にビックリマンシールを無我夢中で集め、
ちょうどこの高校生くらいの時期に殆どの連中が、シールを捨てたり人にあげたりして手放すのだ。

だが、俺は敢えてこの時期にビックリマンを集めていた。
単純にビックリマンが好きだった事もあるが、何より将来的に絶対プレミアが付き、
高値で転売できると思ったからだ。
(この目論見は当たり、結構儲けた)

中学校時代の友人達からもタダ同然の値段で買い漁り、
俺はこの時点で何千枚というシールを所持していた。

しかし、そんな俺でも、どうしても手に入らなかったシールが1枚だけあった。

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それがこのヘッドロココ。

話を聞くに、なんと小山君はこのヘッドロココを持っていると言うではないか!!
しかも、タダでくれると言うのではないか!!!小山君!!!!

俺は大いに期待した。


しかし、、その約束から3日が過ぎ、4日が過ぎ、5日が過ぎても
小山君は持ってきてはくれなかった。


「小山君、今日は持ってきた?」

「ゴメン・・・忘れた・・・」

俺の中で、ヘッドロココに対する思いは膨れ上がると同時に
小山君に対する疑いの憎悪が膨らんできた。

「ほんとに持ってんの?」

「うん・・」

「じゃあ何で持ってきてくれないのさ?」

「ごめん・・明日は絶対持ってくるから・・・」


そして翌日、小山君はようやくヘッドロココを持ってきてくれた!
















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・・・小山君が持ってきたヘッドロココは、アイス版のヘッドロココだった。
俺が欲しかったのは、チョコ版のシール。
アイス版シールなんて、チョコ版シールのブームが一通り過ぎた後に発売された物で、
この当時の俺からしたら、何枚もダブったゴミクズ同然のシールである。

一週間以上待たされた挙句にゴミシールを差し出された俺は・・・





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小山君に襲い掛かった。

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そしてすぐに我に返った。

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やがて小山君とは、徐々に口数が減っていき、
気付けば小山君は別のグループの連中と打ち解けていた。













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俺は再び孤独になった。
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by kurukurupaaaa | 2007-12-26 06:24 | 友人