<   2008年 01月 ( 8 )   > この月の画像一覧

 

地獄保育園②

「今から消火訓練を行います。全員中庭に集合しましょう」

園長のアナウンスが園内に流れると同時に、園児達は憂鬱になる。
いやだいやだと泣き出す園児も、決まって数名いた。

月に一度行われる消火訓練は、地獄そのものだった。

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中庭に出ると、その中央に激しく燃え盛る缶が置かれている。

何を燃やしているのか知らないが、鼻を突く嫌な臭いが辺りに漂い、
数名の園児はゴホゴホとむせ返っていた。

だが、この時点でむせ返ってる様な低レベルな園児どもは、
この消火訓練を乗り切れない。
本当の地獄はこれからなのだから。

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園児達が全員集合したのを見計らい、
鈴木副園長は缶に向かって勢いよく消火器を噴射する。
すると、たちまち白い煙がモクモクと立ち登り、園内は
あっという間に煙に占拠される。

消火訓練の行われる中庭は、四方が建物に囲まれており、
煙が充満しやすい状況になっていたのだ。
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息も吸えないし、目も開けない。
煙だけでもキツイのに、この臭いが尋常じゃなかった。

缶で燃やされていた何かと、消火液の二つが混ざり合い、
想像を絶する異臭を発するのだ。
起こしちゃいけない化学反応を起こしているとしか思えない。
今でもあの臭いは鮮明に覚えているが、例えようのない臭いである。
なので例えない。


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異臭と白煙に、園児達は大パニック。

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地獄絵図と化したその様子を、園長は屋上で嬉しそうに見つめているのだった。



耐えかねた一部の園児達は、逃げ出そうと出口に向かう。
しかし、そこを鈴木副園長が通せんぼ。
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ハンカチという名の最強の防具を所持している副園長は、無敵だった。
(園児達はハンカチを持つ事は許されない)

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保母さんは、自ら泣きながらも、懸命に園児達を励ましている。

もはやこんなの訓練でもなんでもない。
ただの火事である。

俺も最初のうちはこの異臭と白煙にパニックに陥り、ひたすら泣き叫ぶばかりだったが、
3回目くらいで生き延びる方法を発見した。

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身をかがめ、建物の下端にわずかに残っているきれいな空気を吸って
難を逃れたのだ・・・



こんな保育園が、どうして問題にならずにいけしゃあしゃあと営業できていたのか
不思議でしょうがない。

まあおそらく、園児達は親に密告できない程、園長に畏怖していたのだろう。
密告した事がバレたら何されるかわからなかったし。

事実、俺もそうだったし。






まだつづくし。
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by kurukurupaaaa | 2008-01-29 05:05 | 先生 | Comments(29)  

地獄保育園①

これからお話するエピソードは、以前、あるインタビューでも答えたのだが、
それももう読めないと思うので、ここでもう一度詳しく振り返ろうと思う。
今現在の人格を形成する上で、かなり大きな(マイナスの)影響を与えられたと思われる、
正真正銘、ホンモノのトラウマである。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

物心ついた時、俺は地獄にいた。

地獄とは、俺がその当時通っていた保育園の事である。
この保育園の園長と副園長は、狂っていた。

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園長は60過ぎの白髪ババアで、鈴木副園長は50歳くらいの図体のデカい怪力ババア。
園長の命令にヘコヘコと従う、権威主義者だった。

この二人は園児の事を『玩具』としてしか見ておらず、暴力は日常茶飯事。
言うことを聞かない園児は、縄でグルグル巻きにされたり、
下半身だけ裸にされ立たせたり、挙句の果てにはニワトリ小屋に閉じ込められたりと、
精神的にもかなりキツイ仕打ちをされたものだ。

園長と副園長のターゲットは園児だけに留まらず、若い保母さんもその餌食となった。

よく朝礼の時に、皆の前で大声でののしられ、泣いてしまった保母さんを
園児が励ます光景を覚えている。
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普通は逆だと思うのだが、この保育園においては
見慣れたいつもの光景になっていた。



ある日の夕方。

「とおる君、園長が呼んでるから一緒にホールに行きましょう」

鈴木副園長に、そう声をかけられた。

嫌な予感はしたが、逆らう訳にもいかず、
副園長に連れられて薄暗いホールへ向かった。












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そこには先客がいた。

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同じクラスの雷太(らいた)君が、泣きながら園長に土下座していたのだ。
全く状況を飲み込めなかった俺は、目が点である。

だだっ広いホールに、雷太君の嗚咽が響き渡る。

園長が口を開いた。

「とおる君と雷太君が、中庭のシーソーで遊んでいる所を、副園長が見たというのです」
「あのシーソー、工事中で危ないから遊んじゃ駄目って言いましたよね?」

俺は遊んでないので素直に「僕は遊んでません」と答えた。

この当時の俺はまだ純粋で、それなりに正義感もあった。
泣きながら土下座している雷太君に向かって、こう問いただした。
「雷太君、キミは本当にシーソーで遊んだの?」
「遊んでないなら素直にそう言ったほうがいいよ!」
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雷太君は俺の問いに答えず、ひたすら泣き続けている。

すると園長、
「じゃあアナタは、副園長が嘘をついているとでもおっしゃるのですか?」

「はい」


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俺は副園長に髪の毛をつかまれ、冷たい床に頭を押し付けられた。

力づくで、無理矢理土下座をさせられたのだ。


「・・・すみませんでした」


オトナに対する得体の知れぬ恐怖心が、俺の口から謝罪の言葉を吐かせた。

『暴力』 『土下座』 『無実の罪を償わせる』
幼い子供にしてはいけないワースト3ではなかろうか。

それらを同時に味わった俺。
心の中で、何かがピキリと音を立てて崩れ去った様な気がした。

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俺を見下す園長の目は、完全に悪意に満ちていた。

おそらく、シーソーの件なんて完全なでっち上げだろう。
俺たちに土下座をさせる為だけに呼び出したに違いない。










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「この保育園、あぶねー」

自信が確信へ変わった瞬間だった。






つづく。
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by kurukurupaaaa | 2008-01-24 05:07 | 先生 | Comments(35)  

早川君

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小学校に入学して、最初に友達になったのが早川君だった。

早川君は昆虫博士で、よく一緒に虫を捕りに行っては
昆虫の知識を教えてくれたものだ。
放課した後も、公園で泥まみれになって走り回ったり、
近所のガケを探検したりと、毎日の様に遊んだ。

早川君と俺は、親友だった。



そんなある日の休み時間のこと。
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俺は、クラス一のカワイ子ちゃんであるT子ちゃんと
教室でふざけあっていた。

小学校低学年の男子は、気になる女子にちょっかい出したがるもんである。
思えばこれが俺の初恋の相手だったかもしれない。
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そこを、たまたま通り掛かった早川君に助を求めた。
このじゃれ合いに、親友の早川君も混ぜようと思ったのだ。

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それが惨劇の始まりだった・・・

















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早川君は、本当に俺を助けてくれたのだ・・・・・


数年後に『生理』という一大イベントを控えた大切な子宮めがけて
思い切りグウでパンチ。
床に倒れたところを足でボッコボコ。
「ボコボコ」ではない。「ボッコボコ」である。

初恋の相手が、親友に暴行されるいう不条理極まりない光景に、
俺の思考は完全にフリーズし、ただただ傍観するしかなかった。



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その後、T子ちゃんからは無視される様になり、
俺の初恋は幕を閉じた。





あれから20余年。
今でも早川君とは年賀状のやり取りをしている。

早川君は去年、東大の大学院を卒業し、博士号を取得したらしい。
今後は大学の教授か、学者にでもなるのだろう。
俺の旧友の中で、早川君は一番のエリートであり、出世頭である。








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未だに金をせびってくる山本君とは大違いだ。
(山本君も同じ1年3組だった)






早川君・・・今なら僕は、声を大にして言えるよ。





「あの時は助けてくれてありがとう!」





と。
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by kurukurupaaaa | 2008-01-20 00:41 | 友人 | Comments(22)  

赤羽の赤い老人

赤羽には、全身を「赤」で覆い固めた異様な老人がいる。

この人物に関してはホームぺージの日記で長年に渡ってマークし続けてきたのだが、
その全記録を順を追って整理してみようと思う。

この人を、いや、この事件を、人々の記憶から風化させてはならない。




第一章【赤との遭遇】
最初にカレを見かけたのは、確か2004年の元旦の事だったと思う。
お正月の赤羽を、一人フラフラしていると、こんな人が視界に飛び込んできた。

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俺は思った。

「・・・赤っ!」

一応記念に写真に残しておいたものの、
その後しばらく遭遇する事もなかったので、
俺の記憶から徐々に薄れていった。



第二章【赤との再会】
時は流れ、2006年・夏

お金を引き出す為に赤羽の銀行に入った時、
こんな人が視界に飛び込んできた。
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俺は思った。

「・・・赤っ!」

同時に、数年前の記憶が蘇る。

「あの赤い老人だ!」

俺は金を引き出すのを後回しにし、
急遽この人の素性を引き出す事にした。
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自転車を見つめる赤い老人。
カレの自転車だろうか?
にしては赤くないぞ。
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いや、赤い!!!真ん中が赤いぞ!!
間違いなく赤い老人の赤い自転車だ!!!


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しかし残念ながら、この日は巻かれてしまった・・・。
一体何者なのだろうかという思いが、本格的に募り出す。


また、この時期に、新たな赤いおじさんが出現し始める。
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あの赤い老人と関係があるのか不明だが、キリがないので
この赤いおじさんに関しては、街で擦れ違ってもスルーする事にした。



第三章【赤との再再会】

それから一ヶ月後。
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横断歩道の手前で信号待ちをする、赤い老人が視界に入ってくる。
赤い老人の視線の先には、なんか赤いモノがある。
不可解なのは、信号が青なのに渡らない事だ。
まさか赤で行くつもりじゃ・・・。



前回よりも赤さのレベルがアップしている事に驚かされる。
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写真ではわかりずらいかもしれないが、赤い帽子に赤い羽根まで付けてるし・・。

「よおうし、今日こそ正体暴いてやるぞ!」

と、意気込んだものの、またまた巻かれてしまった・・・。
だってチャリを漕ぐスピードが速いんですもの。







第4章【赤との対決】

その数日後、赤羽の某スーパーにて。
(以下・HPの日記より転写)

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奴が現れた!!

「赤羽の赤い老人」だ!!

もはや買い物なんてどうだっていい!
今日こそこの赤い老人の正体を突き止めるべく、徹底的に尾行する事にした。
この前は逃げられたが、今日はそうはいかないぞ!!
一定の距離を保って、真後ろに付ける。
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それにしても、思わず見入ってしまう程の美しい「赤」である。
パッと見、靴は黒いが、正面から確認してみた所、ちゃんと赤い部分もあった。

一定の距離を保たず、今度は真横に回ってみる事にした。
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うおおお、サングラスのフレームまで赤い!!
こんな細かい部分にもちゃんと「赤」を入れている所に、
彼の赤に対する並々ならぬ情熱を感じる。

一度カレと二人でお酒を飲み交わしながら、どうしてこんなに赤にこだわるのか
事細かに問い正してみたいところだが、やっぱ怖いからやめておこう。


店の外に出た赤い人。
しめた、今日は徒歩だ!!


これなら尾行はたやすい。


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赤信号を堂々と渡る赤い老人。
やはりカレにとって赤信号は、すなわち「GOサイン」を意味していたのだ。

車に轢かれる危険を冒してまで赤信号を渡る、
彼の命がけの赤への「愛」に、思わず熱いものがこみ上げてくる。

いや、もしかしたら彼は、車に轢かれる事を望んでいるのかもしれない。
なぜなら、自らの赤い血にまみれて、大好きなこの赤羽の地で
死ぬる事ができるのだから・・・・・

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そしてしばらく歩いた後、カレは、とあるマンションに入っていった。
ここが彼の棲家なのだろうか。

中まで尾行する訳にはいかないので、ここで尾行終了。
彼の苗字と名前を知りたかったが(「赤井さん」希望)、残念ながら
今日のところは分からず終いだ。

諦めて帰ろうとした時、入り口左上に記されていたマンション名が目に入ってきた。




そこには




我が目を疑う様な





世にも恐ろしいマンション名が





存在していたのだった・・・

























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「○○グリーンハイツ」









ふざけるな!









終章【赤よ永遠に】

赤羽の路地裏とかで地味~に何十年も営業している
廃れた居酒屋やら場末のスナックやらが、俺は大好きだ。
そしてそこの年老いたマスターやママ、常連客らと
酒を飲み交わしながら赤羽のどうでもいい情報に花を咲かせるのだ。

そんな時、決まって赤い老人の事を尋ねる事にしている。

「赤羽で全身赤い格好の変な老人知ってますか?」

すると、驚くべき事に、70%くらいの高確率で
「知ってるよ」という答えが返ってくる。

なんでもカレは、昔赤羽でお花屋さんをやっていたらしい。
お花屋といっても、別にお店を構えていた訳ではなく、路上で花を売り歩いていた様だ・・・。
しかもあの赤い格好で・・・。

それがお花屋さんなのかといわれれば、ちょっと違う気もするが、
街の人からは「赤いお花屋さん」と呼ばれ、親しまれていたらしい。


なんだか、得体の知れない恐怖を感じた。

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結局、あれから赤い老人とは会えず終いだが、
一ヶ月に一回くらい、俺の夢に現れては俺を苦しめる。

街を歩いていたら、赤い老人が一人。あっちにも一人。そっちにも一人。
気付いたら街中赤い老人だらけ。
ふと自分の着ている服を見ると、全身真っ赤っ赤・・・ギャー!!!!

こんな感じの悪夢である。ほんと、勘弁して欲しい。




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カレは今も赤羽のどこかを、真っ赤な格好で俳諧しているのかもしれない。
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by kurukurupaaaa | 2008-01-15 19:44 | 街人 | Comments(31)  

首無し婆さん

街を歩いている時、思わず「ウアッ!」と声を上げて驚いてしまう事がある。
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この婆さんのせいである。

何も考えずに街を歩いている時に、不意にこの後姿が視界に入ってきた時の衝撃といったら
それはもう大変なもんだ。

最初こそ恐怖を感じていたものの、最近ではむしろ親近感を覚え、
「首無し婆さん」と勝手に呼んで親しんでいる自分もいる。
一ヶ月くらい街で姿を見かけないと、「婆さん生きてるかな?」と心配しちゃうし。


そんな訳で、この数年間に撮りためた、首無し婆さんの秘蔵写真をご紹介。











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                    街角にたたずむ首無し婆さん。

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            スーパーの出口で、買ったモノを整理する首無し婆さん。

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                    夜の赤羽をさまようする首無し婆さん。

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               イトーヨーカドーに入る首無し婆さん。

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                    イトーヨーカドーで買い物する首無し婆さん。

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                    男と逢引する首無し婆さん。

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                    銀行で金を下ろす首無し婆さん。

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                    休憩する首無し婆さん。

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                    となりの首無し婆さん。




婆さん、本当にその首上がらないのかい?
僕は知っているんだよ。
































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本当はやればできる子だという事を。
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by kurukurupaaaa | 2008-01-12 02:28 | 街人 | Comments(22)  

山本君

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幼馴染の山本君が、金の事で俺に泣きついてくるのは、
今に始まった事ではない。
もう10年以上も前から、こうして俺に泣きついてくるのだ。

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その度に俺は山本君に金を貸す。
別に困ってる山本君を助けたいとか、
小学校1年以来の付き合いだからとか、
そういった友情的な奇麗事で貸す訳ではない。

俺が楽しむ為、つまり俺の為に貸すのだ。

俺が山本君だったら、俺は俺から絶対借りないだろう。
しかし残念ながら、俺は山本君じゃないし、山本君は俺じゃないので
今日も今日とて山本君は俺に金の無心をしに来るのだ。

そんな山本君の事が、俺は大好きなのである。


それでは、今まで山本君に行ってきた数々のヒドい貸し方をご紹介。




ある日の夜、山本君がうちに金を取りにきた。
俺は財布から金を取り出し、「ハイ」と手渡す素振りをし、
山本君が受け取ろうと手を差し伸べた瞬間、札を地面にパラパラと落とす。




「拾え」





そう山本君に命令する。
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山本君は、しぶしぶアスファルトの上のお札を一枚一枚拾っていた。
俺を見上げる顔は、屈辱に満ちていた。

一回やってみたかったんだよな、このやり方。



金を貸すと約束していたある日の夜、
山本君にこんなメールを送ってみた。


「今お前んちの前の、とある場所に金を隠したから見つけてみ」





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メールを送った数秒後に、山本君はすごい勢いで家から飛び出して来た。
そして家の周辺の、ありとあらゆる場所を、無我夢中で探し始めた。














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その様子を俺は、金を片手に塀の影から見守るのだ。



ある日の深夜、山本君がうちに金を取りに来た。
俺の実家の部屋は、二階の一番奥だった為、わざわざ外に出るのが面倒くさかった。
そこで札を折って飛行機にし、窓から下の山本君めがけて投げる事にした。
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しかし、タイミング悪く(良く?)、札は木の枝に引っかかってしまった。
山本君は、近くに落ちてた木の枝を手にし、
暗闇の中、札をゲットする為にピョンピョン飛び跳ねるのだった。
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そんな必死な山本君を見下しながら吸うタバコの、うまいことうまいこと。














また山本君にお金を貸したい。
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by kurukurupaaaa | 2008-01-09 04:12 | 友人 | Comments(32)  

神崎君②

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古本屋の前で初対面を果たした俺達は、
その足でマクドナルドに向かった。

そしてコーラを飲みながら、しばし談笑。
いや、表向きは談笑なのだが、お互いがどういう人間なのかを
警戒しながら探り合っていたのだ。
2時間ほど様々な話をしたが、この押切という男がどういう人間なのか、
俺はまったくもって掴めなかった。

マックを出た俺達は、気分転換に街を俳諧する事にした。
特に会話も無いまま、ただひたすらに夕暮れ時の神保町を歩き続けた。

と、押切君が沈黙を破り、唐突にこんな事を聞いてくる。

押切「清野君、君は童貞なのかい?」

清野「そういう押切君こそどうなんだい?」

押切「・・・童貞だとも」

清野「・・・俺もだとも」













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「童貞」という、十代の男子にとってこの上ない共通点のもと、
俺達はようやく打ち解け合った。
長い年月を経て、ようやく俺達は真の「友達」になれたのだ。

そしてこれがキッカケとなり、長いこと内に秘めていたお互いの価値観やら人生観を素直にさらけ出すと、俺達は驚くほど共感し合った。


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ある時は電車が通過する鉄橋の下で、
「今俺達の頭上をとんでもない数のウンコ(乗客の腹に詰まった糞の事)が、とんでもない速度で通過しているぞ!」と笑い転げたり・・・
ある時は『人間の歌』を作り、
「皮膚皮膚皮膚皮膚髪髪髪髪指指指指爪爪爪爪舌舌舌舌♪」
と、街中で大声で合唱しながら歩いたり・・・
相乗効果によって、俺達の行動はじょじょに常軌を逸し始めた。

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笑いすぎて街角で吐き気を催すことしばしば。
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押切君に至っては、笑いすぎて喘息の発作を起こしたりもした。

はたから見れば、俺達はただの気違いだったろう。
しかし俺は非常に楽しかった。
今まで出会ってきたどの連中より、押切君は俺の価値観に共感してくれるし、
何を言っても引かないし、くだらない悪ふざけにも率先して付き合ってくれる。

押切君とは一生を通して仲良くしていこうと、心に堅く決意した。















そんなある日、押切君が俺より先に童貞を捨てやがった。
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押切君とは絶交しようと、心に堅く決意した。
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押切君からの誘いは全て断り、メールも無視。
MSNメッセンジャーだって、もちろん禁止だ。




















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数ヵ月後、俺も童貞を捨てる。




















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再び押切君と仲良くなった。











そんなある日、押切君からこんな電話がかかってきた。
「清野君、大変だ!石田君の彼女の中国人が、俺の母親に会う為に、近々うちに遊びにくるかもしれないんだ!」

石田君とは、前回触れた、俺の幼馴染である。
押切君と石田君は、電話で一度話しただけで、その後一切接点は無い。
俺も二十歳を過ぎてから徐々に石田君と疎遠になり、連絡先も知らない。

石田君に中国人の彼女がいることだけは、風の噂で知っていたが、
その事を押切君の口からこんな形で聞かされるとは・・・。
しかも何で押切君の家に、石田君の彼女の中国人がやってくるんだ・・・!?

俺は頭の中がごちゃごちゃになり、過呼吸になりそうだった。


話を要約すると、
押切君の母親の友人の友人の友人の友人が偶然石田君の彼女で、
その友人どもに連れられて押切君宅に遊びに来る事になったらしいのだ。(図B参照)
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俺は電話口で声を荒げた。

「その面会、全力で阻止してくれ!!!!」

変なとこから湧いてきた、石田君の謎の彼女が押切君の母親に会うという現実が
俺は恐ろしくて仕方がなかったのだ。

「言われなくても阻止するつもりだ!!!」

押切君も声を荒げた。

押切君の妨害工作によって、見事面会は破談になった。
(その後石田君は、その彼女と結婚して、中国に渡ったらしい)




こういう、ありえない変な偶然が、俺達の周りではよく起こる様な気がする。
押切君と知り合ったのもありえない偶然だが、全部ひっくるめて必然の様な気が、
しなくはない様な気がしなくもなくはない様な気もする。





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多分押切君は俺より先に結婚すると思うので、
その時また絶交してやろうかと、密かに計画しております。
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by kurukurupaaaa | 2008-01-06 20:21 | 友人 | Comments(40)  

神崎君

今年は、あの男と知り合ってちょうど10年目になる。
一度冷静に振り返るには丁度良いタイミングなので、
この場を借りて振り返ってみる事にしよう、そうしよう。


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俺が今回の人生で出会ってきた人間達の中で、最も得体の知れないのが
この神崎という男だ。
神崎というのは本名で、彼のもう一つの名は押切蓮介という。
今となってはすっかり有名になってしまった、漫画家の押切君の事だ。

よく人から「押切さんとはどうやって知り合ったんですか?」と
尋ねられるが、それを一から説明するのは非常にめんどくさいので、
「たまたまです」と答える事にしている。

ここで詳しく説明するので、もうその質問は控えて頂きたい。
くさいんです。めんどうが。



1998年5月。

俺はヤンマガで『アニキの季節』という糞漫画でデビューした。
その2ヵ月後、押切君もヤンマガで『マサシ!!うしろだ!!』という漫画でデビューした。
その強烈な作風から、俺の脳裏に押切蓮介の名はしかりインプットされた。
(この作品は講談社のから出てる『押切蓮介劇場・マサシ!!うしろだ!!』に収録)

で、その当時俺は大学に通いながら近所のイズミヤというスーパーでバイトをしていて、
スーパー内の違う部署には小学校時代の幼馴染、石田光男君も働いてた。
ある日、石田君が唐突にこんな事を聞いてきた。

石田「押切蓮介って知ってる?」

俺「知ってる、ヤンマガでデビューした人でしょ」

石田「押切君も清野君のこと知ってるらしいよ」

意味がまったく分からなかった。
一体何故、見ず知らずの押切君が俺の事を知っているという事を、
俺の幼馴染の石田君が知っているのか。

ここから話は複雑になっていくのだが、要約すると、
イズミヤで石田君と同じ部署で働いているパートのオバちゃんの友人の友人が、
押切君の母親だったのだ。(図A参照)
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俺がデビューした事を、石田君が同じ部署のオバチャンに何気なく話した所、
その話が三人もの無関係な人間を挟み、偶然押切君の耳まで届き、更に押切君の話が
俺の耳まで届いたという訳だ。

そして数週間後、同じルートを辿り、押切君の電話番号を知る事になる。

お互いまだ携帯なんて持っていない時代、
恐る恐る公衆電話から押切君の実家に掛けてみる事にした。
蒸し暑い夏の日の夜に。石田君と共に。赤羽台団地の公衆電話から。

しかし、いきなり俺が電話を掛けるのは怖かったので、
石田君にお願いしてファーストコンタクトをとってもらう。
普段寡黙で無表情な石田君が、電話口で押切君と盛り上がり、「あはは」とか声を上げて笑っていたのが不気味だった。
押切君と俺の幼馴染が、一体何の話で盛り上がっているのだろうか・・・。
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そしてとうとう俺の番。
石田君から差し出された受話器を耳に当てると、そこには押切君の声が存在していた。
一言二言ぎこちない挨拶を交わした後、『怪談・人間時計』という1960年代のキチガイ漫画の話で盛り上がる。
高校時代、この『人間時計』に感銘を受けた俺は、毎日の様に学校で愛読していたのだが、周りの友人達は誰もわかってくれなかった。
わかってくれないどころか「また清野が不気味な本読んでる」と、大変白い目で見られていた。
最初にこの本で共感できた同年代が、押切君だったのだ。(押切君も俺と同じだったらしい)

俺達は嬉しくなり、すぐに意気投合した。
意気投合したものの、すぐに会うに至らなかったのは
お互いがお互いを警戒し合っていた為だろう。
ちなみにこの当時俺が住んでいたのは東京都板橋区。押切君は神奈川県高津区。
会おうと思えばいつでも会える距離である。


その後、月1ペースで文通がスタートする。

「押切君、お元気ですか。僕は元気です。」

「清野君、お久しぶりです。暑い日が続きますがお元気ですか。」

文通が始まって数ヶ月経っても、「会おう」という話題が出なかったのは、
まだまだお互いがお互いを疑っていた為だろう。

それから1年くらいの時が流れ、どちらからともなく
「そろそろ会ってみようか」的な話がようやく出始める。


そして1999年のある日。
神保町の、古書センター前で待ち合わせる事に・・・。

俺はビビっていた。
電話や手紙では好青年だが、押切という男は絶対に頭のおかしい奴だと
確信していたからだ。
少し早めに待ち合わせ場所に着いた俺は、押切君らしき男が来るのを物陰から
ジッと待ち伏せていた。
ヤバそうな奴だったら、きびすを返してすぐに帰ろうという作戦を決行する為だ。





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「きゃつだ!!」

神保町を行き交う人達の中、それが押切君だとすぐに分かった。
常人とは明らかに異なる変なオーラを、どくどく放出していたからだ。

話しかけようか無視して帰ろうか、考えあぐねていると











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なんと押切君の方から俺に声を掛けてきた。

「な・・なんで分かった!?」

「変なオーラ出てたからすぐ分かったよ」






つづく。
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by kurukurupaaaa | 2008-01-05 03:53 | 友人 | Comments(26)