山本君

c0152126_3523692.jpg

c0152126_3525776.jpg

c0152126_3531853.jpg

幼馴染の山本君が、金の事で俺に泣きついてくるのは、
今に始まった事ではない。
もう10年以上も前から、こうして俺に泣きついてくるのだ。

c0152126_354517.jpg

その度に俺は山本君に金を貸す。
別に困ってる山本君を助けたいとか、
小学校1年以来の付き合いだからとか、
そういった友情的な奇麗事で貸す訳ではない。

俺が楽しむ為、つまり俺の為に貸すのだ。

俺が山本君だったら、俺は俺から絶対借りないだろう。
しかし残念ながら、俺は山本君じゃないし、山本君は俺じゃないので
今日も今日とて山本君は俺に金の無心をしに来るのだ。

そんな山本君の事が、俺は大好きなのである。


それでは、今まで山本君に行ってきた数々のヒドい貸し方をご紹介。




ある日の夜、山本君がうちに金を取りにきた。
俺は財布から金を取り出し、「ハイ」と手渡す素振りをし、
山本君が受け取ろうと手を差し伸べた瞬間、札を地面にパラパラと落とす。




「拾え」





そう山本君に命令する。
c0152126_3542813.jpg

山本君は、しぶしぶアスファルトの上のお札を一枚一枚拾っていた。
俺を見上げる顔は、屈辱に満ちていた。

一回やってみたかったんだよな、このやり方。



金を貸すと約束していたある日の夜、
山本君にこんなメールを送ってみた。


「今お前んちの前の、とある場所に金を隠したから見つけてみ」





c0152126_3551284.jpg

メールを送った数秒後に、山本君はすごい勢いで家から飛び出して来た。
そして家の周辺の、ありとあらゆる場所を、無我夢中で探し始めた。














c0152126_3554099.jpg

その様子を俺は、金を片手に塀の影から見守るのだ。



ある日の深夜、山本君がうちに金を取りに来た。
俺の実家の部屋は、二階の一番奥だった為、わざわざ外に出るのが面倒くさかった。
そこで札を折って飛行機にし、窓から下の山本君めがけて投げる事にした。
c0152126_3555543.jpg

c0152126_356897.jpg


しかし、タイミング悪く(良く?)、札は木の枝に引っかかってしまった。
山本君は、近くに落ちてた木の枝を手にし、
暗闇の中、札をゲットする為にピョンピョン飛び跳ねるのだった。
c0152126_3562535.jpg

そんな必死な山本君を見下しながら吸うタバコの、うまいことうまいこと。














また山本君にお金を貸したい。
[PR]

# by kurukurupaaaa | 2008-01-09 04:12 | 友人  

神崎君②

c0152126_201284.jpg

古本屋の前で初対面を果たした俺達は、
その足でマクドナルドに向かった。

そしてコーラを飲みながら、しばし談笑。
いや、表向きは談笑なのだが、お互いがどういう人間なのかを
警戒しながら探り合っていたのだ。
2時間ほど様々な話をしたが、この押切という男がどういう人間なのか、
俺はまったくもって掴めなかった。

マックを出た俺達は、気分転換に街を俳諧する事にした。
特に会話も無いまま、ただひたすらに夕暮れ時の神保町を歩き続けた。

と、押切君が沈黙を破り、唐突にこんな事を聞いてくる。

押切「清野君、君は童貞なのかい?」

清野「そういう押切君こそどうなんだい?」

押切「・・・童貞だとも」

清野「・・・俺もだとも」













c0152126_202368.jpg

「童貞」という、十代の男子にとってこの上ない共通点のもと、
俺達はようやく打ち解け合った。
長い年月を経て、ようやく俺達は真の「友達」になれたのだ。

そしてこれがキッカケとなり、長いこと内に秘めていたお互いの価値観やら人生観を素直にさらけ出すと、俺達は驚くほど共感し合った。


c0152126_2051427.jpg

ある時は電車が通過する鉄橋の下で、
「今俺達の頭上をとんでもない数のウンコ(乗客の腹に詰まった糞の事)が、とんでもない速度で通過しているぞ!」と笑い転げたり・・・
ある時は『人間の歌』を作り、
「皮膚皮膚皮膚皮膚髪髪髪髪指指指指爪爪爪爪舌舌舌舌♪」
と、街中で大声で合唱しながら歩いたり・・・
相乗効果によって、俺達の行動はじょじょに常軌を逸し始めた。

c0152126_2064728.jpg

笑いすぎて街角で吐き気を催すことしばしば。
c0152126_2073431.jpg

押切君に至っては、笑いすぎて喘息の発作を起こしたりもした。

はたから見れば、俺達はただの気違いだったろう。
しかし俺は非常に楽しかった。
今まで出会ってきたどの連中より、押切君は俺の価値観に共感してくれるし、
何を言っても引かないし、くだらない悪ふざけにも率先して付き合ってくれる。

押切君とは一生を通して仲良くしていこうと、心に堅く決意した。















そんなある日、押切君が俺より先に童貞を捨てやがった。
c0152126_2093539.jpg










押切君とは絶交しようと、心に堅く決意した。
c0152126_20102433.jpg

押切君からの誘いは全て断り、メールも無視。
MSNメッセンジャーだって、もちろん禁止だ。




















c0152126_2011314.jpg

数ヵ月後、俺も童貞を捨てる。




















c0152126_20114438.jpg

再び押切君と仲良くなった。











そんなある日、押切君からこんな電話がかかってきた。
「清野君、大変だ!石田君の彼女の中国人が、俺の母親に会う為に、近々うちに遊びにくるかもしれないんだ!」

石田君とは、前回触れた、俺の幼馴染である。
押切君と石田君は、電話で一度話しただけで、その後一切接点は無い。
俺も二十歳を過ぎてから徐々に石田君と疎遠になり、連絡先も知らない。

石田君に中国人の彼女がいることだけは、風の噂で知っていたが、
その事を押切君の口からこんな形で聞かされるとは・・・。
しかも何で押切君の家に、石田君の彼女の中国人がやってくるんだ・・・!?

俺は頭の中がごちゃごちゃになり、過呼吸になりそうだった。


話を要約すると、
押切君の母親の友人の友人の友人の友人が偶然石田君の彼女で、
その友人どもに連れられて押切君宅に遊びに来る事になったらしいのだ。(図B参照)
c0152126_2013509.jpg


俺は電話口で声を荒げた。

「その面会、全力で阻止してくれ!!!!」

変なとこから湧いてきた、石田君の謎の彼女が押切君の母親に会うという現実が
俺は恐ろしくて仕方がなかったのだ。

「言われなくても阻止するつもりだ!!!」

押切君も声を荒げた。

押切君の妨害工作によって、見事面会は破談になった。
(その後石田君は、その彼女と結婚して、中国に渡ったらしい)




こういう、ありえない変な偶然が、俺達の周りではよく起こる様な気がする。
押切君と知り合ったのもありえない偶然だが、全部ひっくるめて必然の様な気が、
しなくはない様な気がしなくもなくはない様な気もする。





c0152126_20141982.jpg

c0152126_2015364.jpg




c0152126_20152769.jpg

多分押切君は俺より先に結婚すると思うので、
その時また絶交してやろうかと、密かに計画しております。
[PR]

# by kurukurupaaaa | 2008-01-06 20:21 | 友人  

神崎君

今年は、あの男と知り合ってちょうど10年目になる。
一度冷静に振り返るには丁度良いタイミングなので、
この場を借りて振り返ってみる事にしよう、そうしよう。


c0152126_3135518.jpg


俺が今回の人生で出会ってきた人間達の中で、最も得体の知れないのが
この神崎という男だ。
神崎というのは本名で、彼のもう一つの名は押切蓮介という。
今となってはすっかり有名になってしまった、漫画家の押切君の事だ。

よく人から「押切さんとはどうやって知り合ったんですか?」と
尋ねられるが、それを一から説明するのは非常にめんどくさいので、
「たまたまです」と答える事にしている。

ここで詳しく説明するので、もうその質問は控えて頂きたい。
くさいんです。めんどうが。



1998年5月。

俺はヤンマガで『アニキの季節』という糞漫画でデビューした。
その2ヵ月後、押切君もヤンマガで『マサシ!!うしろだ!!』という漫画でデビューした。
その強烈な作風から、俺の脳裏に押切蓮介の名はしかりインプットされた。
(この作品は講談社のから出てる『押切蓮介劇場・マサシ!!うしろだ!!』に収録)

で、その当時俺は大学に通いながら近所のイズミヤというスーパーでバイトをしていて、
スーパー内の違う部署には小学校時代の幼馴染、石田光男君も働いてた。
ある日、石田君が唐突にこんな事を聞いてきた。

石田「押切蓮介って知ってる?」

俺「知ってる、ヤンマガでデビューした人でしょ」

石田「押切君も清野君のこと知ってるらしいよ」

意味がまったく分からなかった。
一体何故、見ず知らずの押切君が俺の事を知っているという事を、
俺の幼馴染の石田君が知っているのか。

ここから話は複雑になっていくのだが、要約すると、
イズミヤで石田君と同じ部署で働いているパートのオバちゃんの友人の友人が、
押切君の母親だったのだ。(図A参照)
c0152126_3144774.jpg

俺がデビューした事を、石田君が同じ部署のオバチャンに何気なく話した所、
その話が三人もの無関係な人間を挟み、偶然押切君の耳まで届き、更に押切君の話が
俺の耳まで届いたという訳だ。

そして数週間後、同じルートを辿り、押切君の電話番号を知る事になる。

お互いまだ携帯なんて持っていない時代、
恐る恐る公衆電話から押切君の実家に掛けてみる事にした。
蒸し暑い夏の日の夜に。石田君と共に。赤羽台団地の公衆電話から。

しかし、いきなり俺が電話を掛けるのは怖かったので、
石田君にお願いしてファーストコンタクトをとってもらう。
普段寡黙で無表情な石田君が、電話口で押切君と盛り上がり、「あはは」とか声を上げて笑っていたのが不気味だった。
押切君と俺の幼馴染が、一体何の話で盛り上がっているのだろうか・・・。
c0152126_3171964.jpg

そしてとうとう俺の番。
石田君から差し出された受話器を耳に当てると、そこには押切君の声が存在していた。
一言二言ぎこちない挨拶を交わした後、『怪談・人間時計』という1960年代のキチガイ漫画の話で盛り上がる。
高校時代、この『人間時計』に感銘を受けた俺は、毎日の様に学校で愛読していたのだが、周りの友人達は誰もわかってくれなかった。
わかってくれないどころか「また清野が不気味な本読んでる」と、大変白い目で見られていた。
最初にこの本で共感できた同年代が、押切君だったのだ。(押切君も俺と同じだったらしい)

俺達は嬉しくなり、すぐに意気投合した。
意気投合したものの、すぐに会うに至らなかったのは
お互いがお互いを警戒し合っていた為だろう。
ちなみにこの当時俺が住んでいたのは東京都板橋区。押切君は神奈川県高津区。
会おうと思えばいつでも会える距離である。


その後、月1ペースで文通がスタートする。

「押切君、お元気ですか。僕は元気です。」

「清野君、お久しぶりです。暑い日が続きますがお元気ですか。」

文通が始まって数ヶ月経っても、「会おう」という話題が出なかったのは、
まだまだお互いがお互いを疑っていた為だろう。

それから1年くらいの時が流れ、どちらからともなく
「そろそろ会ってみようか」的な話がようやく出始める。


そして1999年のある日。
神保町の、古書センター前で待ち合わせる事に・・・。

俺はビビっていた。
電話や手紙では好青年だが、押切という男は絶対に頭のおかしい奴だと
確信していたからだ。
少し早めに待ち合わせ場所に着いた俺は、押切君らしき男が来るのを物陰から
ジッと待ち伏せていた。
ヤバそうな奴だったら、きびすを返してすぐに帰ろうという作戦を決行する為だ。





c0152126_3195281.jpg


「きゃつだ!!」

神保町を行き交う人達の中、それが押切君だとすぐに分かった。
常人とは明らかに異なる変なオーラを、どくどく放出していたからだ。

話しかけようか無視して帰ろうか、考えあぐねていると











c0152126_3191776.jpg


なんと押切君の方から俺に声を掛けてきた。

「な・・なんで分かった!?」

「変なオーラ出てたからすぐ分かったよ」






つづく。
[PR]

# by kurukurupaaaa | 2008-01-05 03:53 | 友人  

本日のおじさん・4

あれ!?

なんだ、この木!!!

見たことのない、珍しい木だなあ~!!!!!




と思ったら













































c0152126_6362896.jpg

c0152126_6403291.jpg


おじさんだった。




それでは皆さん良いお年を~。
新年明けたらここで会いましょう~。
新年明けなかったら来世で会いましょう~。

ちんぽちんぽ。
[PR]

# by kurukurupaaaa | 2007-12-31 06:42 | 街人  

本日のおじさん・3

赤羽駅高架下に広がる巨大ショッピングモール。
そこは通称「アルカード」と呼ばれ
赤羽で最もオシャレな店が立ち並ぶ一角である。

アジアン雑貨を取り扱うシックでエレガントなお店や、
高価な輸入家具を専門に取り扱うお店、
それだけならまだしも、甘いスウィーツを出しやがる、
紅茶の美味しい喫茶店まであるではないか。

正直俺は、あまりこのアルカードの雰囲気が得意ではない。
なぜなら俺は、オシャレではないからだ。





そんなオシャレな空間を全否定すべく、一人の勇気あるおじさんが立ち上がった。
c0152126_20133813.jpg

c0152126_2016377.jpg

「この人はタダ者ではない!」
俺は直感的に確信した。
c0152126_2028154.jpg

「これは社会の窓が開いているんじゃない・・・開けているんだ!!」
俺は直感的に確信した。
悪意に満ちた計画的犯行である。




c0152126_2038127.jpg

おじさんは、しきりに股間の辺りをいじりながら
「死ねー死ねー」「ブッ殺すぞー」と、お叫びになられていらっしゃった。

c0152126_2039403.jpg

おじさんを避ける様に、足早に歩き去る人々。
おじさんは不敵な笑みを浮かべている。
c0152126_20402262.jpg

俺はおじさんを応援していた。
「もっと、もっと荒らして下さい!このオシャレに満ちたショッピングモールを!!!」
「平和ボケした赤羽人どもに、鉄槌を!!!!」

そんな俺の意思が通じたのか、おじさんは狙い済ましたかの様に
スタスタと一軒のお店に入っていかれた。
数あるお店の中で、最もオシャレだと思われるその店に。


では、店のオシャレ具合と、おじさんの非オシャレ具合の対比を楽しみながら写真をご覧下さい。








































































c0152126_20491012.jpg













c0152126_2050516.jpg



こんなにオシャレなお店のオシャレなソファ(売り物・「座らないで下さい」と表記されてる)に腰掛け、おじさんはポコチンいじりながら
「死ねー死ねー」「ブッ殺すぞー」と、繰り返しお叫びになられていらっしゃった。
もはやオシャレも糞もありゃしない。
「台無し」とはこの事である。
いきなり入店した、ハイレベルなおっさんの奇襲に若い女性店員たちは恐れおののき、
どうしていいか分からぬ様子でしどろもどろしていた。






































いつか僕に子供ができたら、聞かせてやるんだ。
かつて赤羽に、こんな勇敢なおじさんがいた事を。
[PR]

# by kurukurupaaaa | 2007-12-28 20:59 | 街人