昨年末、暮れの押し迫った夕暮れ時のこと。
つまり、暮れの暮れのことである。
俺は赤羽駅付近のスクランブル交差点にて、
一人、ボ~っと信号待ちをしていた。
その時、交差点の向こう岸に、とんでもない奴が
信号待ちしているのが視界に飛び込んできた。
それは、般若の様な顔をした不気味なバケモノ・・・
正確には、般若の様な不気味な仮面を被った人間である。
いや・・・般若というか、般若と、楳図かずおの『笑い仮面』を
足して2で割ったような仮面だろうか。
ともあれ、不気味なことには違いない。
それを見た俺は、声を上げて驚いてしまった。
何だ!?何だアイツ!!?
仮面を被っているだけでなく、周囲の人を威嚇するかのごとく、
両手を高く上げている。
服装は、黒っぽいフード付きのパーカーに、上下赤のパジャマのようなものを
着ていた。
一瞬驚いたものの、いくら赤羽でもコレは無いだろうと思い、
俺は「何かの撮影なんだろうなー」くらいに軽く捉えた。
しかし、どうも様子がおかしい。
向こう岸にいる人達が、どよめいているのだ。
向こう岸だけじゃない、こっち岸にいる人達も、
仮面の人の存在に気づくと、どよめき始めた。
「なにアレ」「おい、なんかあっちにいるぞ!」
「こわ~い!!」「キャー!!」
赤羽の人たちが、驚き、畏怖している。
これはただごとではない。
以前触れた、〝全身赤い服で身を固めた老人〟や、
〝パッと見、首の無い老婆〟、そしてペイティさん。
普通の人が見たら、十分ざわつくに値するレベルの怪人だと思う。
http://usurabaka.exblog.jp/7994554/(赤い老人)
http://usurabaka.exblog.jp/7965725/(首無し老婆)
しかし、赤羽人にとっては、ざわつくどころか
完全スルーの、ごくごくありふれた日常の光景なのである。
スルーどころか、彼らと笑顔で談笑してる赤羽人も多々いるし・・。
そんな非日常慣れした赤羽人が、同時に大多数驚く場面なんて、
俺はこの日初めて見た。
写真、写真撮らなきゃ!!
すいません撮影失敗です!!!
信号が青に変わり、仮面の人がこっち岸に渡ってくる時に
携帯での撮影を試みたのだが、こういう時に限って電源が入っていないのだ!!
俺の携帯は、原因はわからないのだが、たまに電源が切れてしまうのだ。
急いで電源を入れ、携帯を構えた時には、すでに仮面の人に
追い抜かされてしまった・・・。
m(__)m
ぺこり。
俺は、なんとしてでも奴の正面の写真を撮影すべく、
尾行を試みることにした。
仮面の人は、信号を渡ると、そのまま吸い込まれるように
LaLaガーデンへと侵入し始めた。
LaLaガーデンといえば、赤羽で最も人通りの激しい
アーケード商店街である。
その、泣く子も黙る天下のLaLaガーデンのド真ん中を、
不気味な仮面を被った人間が闊歩する・・・・
その光景は、不条理としか言いようがなかった。
俺は、奴と2メートル程の距離を保ち、真後ろを尾行したのだが、
通り過ぎる人たちの反応が手に取るように分かって面白かった。
仮面の人に気づくと、皆一様にビクッと驚くのだ。
声を上げて驚くおばちゃんもいた。
仮面の人は、時折体をカクカク揺らしながら含み笑いをしていた。
その笑い声から、性別は「男」と判明した。
「奴は赤羽の人たちを驚かせて、その反応を見て楽しんでいるんだ・・・」
俺はそう確信した。
引き続き尾行。
アーケード商店街を抜けけると、仮面の人は赤羽公園へと入っていった。
公園内では子供達が無邪気にサッカーをしている。
驚愕すべきことに、奴はサッカーをしている子供達のド真ん中を
スタスタと横切り始めたのだ。
この、仮面の人が横切っている最中の場面には、
かろうじて撮影することに成功したぞ!!
(o^∇^o)ノ.
イエーイ☆
\(○^ω^○)/
まだ見せないよーん
(*^・^*)
次写真いきまーす!
(*´(エ)`*)
チンポチンポ☆
写真です。
散々期待させたのに、不鮮明で申し訳ありません。
横顔なので、仮面の造形まではハッキリ見えないけれど、
何らかの仮面をつけているということはお分かりになられるだろうか?
写真撮影時、子供達はまだ仮面の人の存在に気づいていなかったけれど、
気づくと同時に断末魔の叫び声を上げ、
サッカーボールを放置して一目散に逃げ去っていった。
俺も少年時代、よく公園でサッカーをしていたけれど、
その最中に不気味な仮面を付けた大人に横切られた暁には、
今以上に人格が歪んでいたと思う。
横切られなくて、本当に良かった。
仮面の人は、子供達が去った公園内で、
仮面の隙間から含み笑いを漏らしていた・・・
つづく。